~すべての粉じんは、肺の中に多く入ると
じん肺を引き起こします~
じん肺は粉じんを吸入することによって起こる肺の病気です。国が制定したじん肺法では「粉じんを吸入することによって肺に生じた、繊維増殖性変化を主体とする疾病をいう」と定義されています。
昔、炭鉱や鉱山で岩盤を掘り進む仕事をしていた労働者達はじん肺のことを「よろけ」と言って恐れていたそうです。粉じんを吸うことにより肺が病変を起こして、酸素を十分に体内に取り入れることができず、酸欠が原因で正常に歩くことに支障をきたすようになったり、全身のさまざまな臓器がなんらかの反応を起こすようになったりしたからです。じん肺は放置しておくと進行していくだけでなく、さまざまな病気を併発します。
現役の時は元気に働くことができても、じん肺は退職後に発症したり、悪化したりすることの多い病気です。その為、労災保険の申請方法やじん肺手帳の申請の仕方など手続きの方法が分からないという方がとても多く、名古屋労災職業病研究会はそういう方々への支援を行ってきました。
じん肺が進行して治療が必要になった場合には、病院や診療所にかかることになります。治療費、入院費などの費用については、国の定めたじん肺の労災認定基準に該当する方は労災保険の給付の対象となります。労災保険から治療費、薬代、入院の費用など療養の給付を受けることのできる対象者は、「じん肺管理区分」が管理4と決定された人と、「じん肺管理区分」が管理2、管理3と決定された方で、国の定める合併症を併発した方です。国の定めるじん肺合併症は「肺結核」、「結核性胸膜炎」、「続発性気管支炎」、「続発性気管支拡張症」、「続発性気胸」、「肺がん」です。
「じん肺管理区分」とは国が検査方法を定めた、「じん肺健康診断」の結果に基づき、じん肺の所見を区分したものです。じん肺管理区分は、管理1、管理2、管理3イ、管理3ロ、管理4の5段階に分かれていて、管理1はじん肺の所見がないという区分で、管理2以上は、じん肺の所見があることを示しています。じん肺管理区分の申請は、じん肺管理区分の決定対象となる粉じん作業に従事していた退職者が、「じん肺健康診断」を行うことができる医療機関で検査をしてもらったあと、都道府県の労働局に申請します。申請後、地方じん肺審査医による審査を経て、労働局長によって「じん肺管理区分」が決定されます。決定された「じん肺管理区分」がじん肺の労災認定基準に該当する方は、最後に粉じんを吸入する仕事に従事していた職場を管轄する労働基準監督署に、労災申請を行うことになります。