~腕がだるい、肩が凝るは前兆かも知れません~
腕や手を過度に使用する人に現れ、首から肩、腕、手、指にかけて炎症を起こしたり、関節や腱に異常をきたした状態のことをいい、症状の現れ方や進み方は、その仕事により、またその人により少しずつ違います。
まず肩が凝る、首筋が凝る、前腕がだるくて手にハンドバッグなどを下げているのが辛い、電話の受話器を持っているのが辛いなどの症状から始まります。初めはだるいとか、疲れやすいものだったものがだんだん進んで、痛みや疼きとなって苦痛が強くなって行きます。
痛みも動かす時だけ、使う時だけの痛みから、じっとしていても絶えず痛む、それからその部分が熱を持ったり、腫れたりなど程度は様々です。
手指の冷えや痺れ、更にはふるえをきたし、物を落とす、字が書きにくいなどの訴えも現れ、痛みを我慢し続けていると、頸、肩、腕、手だけでなく、凝りや痛みの起こる範囲が背中や腰にまで及んだり、下肢がだるかったり、足先の冷えや痺れという訴えもよく聞かれます。
病気がひどくなったり、長引いたりすると、不眠や、頭が重かったり痛かったり、耳鳴りがしたり、腕時計をはめているのさえ苦痛になることもあり、更にイライラ、物忘れ、めまい等のいわゆる自律神経失調症状も目立つようになります。また、持続的な筋力も低下します。
労災では、腰痛に次いで多く、また、業務上外の認定についても、災害性の場合は比較的容易で、労務遂行中であれば、業務上と認定されやすい。一方、非災害性の場合は通常業務の継続が原因となっているので、治療と同時に、業務から離れて経過をみる必要があります。また、腕や手を過度に使用する機会は、仕事だけでなく家事や育児、スポーツといった日常生活の中にもあります。いわゆる「五十肩」のように加齢によっても生じます。そのため労災と認定される為には、次の3つの要件すべてを満たす必要があります。
(1)後頭部、頸部、肩甲帯、上腕、前腕、手、指に負担のかかる作業を主にする業務に原則として6か月程度以上従事した後に発症したものであること。
(2)発症前直前3か月間に、腕や手等に負担のかかる作業に就労したこと。
(3)(2)で行った負担のかかる作業への就労と発症までの経過が医学上妥当なものと認められること。
負担のかかる作業には、様々なものがありますが、主に次のような作業が該当します。
①反復動作の多い作業…パソコンなどでキーボード入力をする作業、運搬・積み込み、積み卸し、冷凍魚の切断や解体、製造業における機器などの組立て・仕上げ作業、調理作業、手作り製パン、製菓作業、ミシン縫製、アイロンがけ、手話通訳
②腕や手を上げた状態で行う作業…天井など上方を対象とする作業、流れ作業による塗装、溶接作業
③頸部、肩の動きが少なく姿勢が拘束される作業…顕微鏡やルーペを使った検査作業
④特定の部位に負担のかかる状態で行う作業…保育・看護・介護作業
※①~④は類型を示したものであり、これらに類似した作業も該当することがあります。