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<事例01> アスベストが原因で肺がんになった元建設会社男性の相談事例

長年建設業で働いていて肺がんを発症した68歳の男性が、相談のため名古屋労災職業病研究会を訪れたのは2013年10月でした。 2011年11月に肺がんが見つかり、2012年の2月に左肺の手術をされたとのことで、大急ぎで男性と共に労働基準監督署へ行き、労災保険の休業補償給付の提出をして、進んでいた時効(休業補償給付の請求期限は発症日から2年)を止めに行きました。

名古屋労災職業病研究会の活動に協力してくれる医師に手術前の男性のCTやレントゲンの胸部画像を見てもらうと、男性の胸部画像に胸膜プラーク(石綿吸引によって壁側胸膜にできる限局的な線維性の肥厚)を確認することができ、アスベストにばく露していたことが分かりました。 労災保険のアスベスト肺がんを認定する為の基準の一つは「胸膜プラークが確認でき、10年間アスベストにばく露した従事歴があること」という要件で、この男性の場合、胸膜プラークが確認できても、肺がんを労災として認めてもらうためには、10年間、仕事でアスベストを吸ったことを証明することが難しそうでした。

男性は京都の高校卒業後、アスベストとは関係ない仕事に従事した後、20代前半で建設業界に転職し、住宅、ビルなどの水道工事を行う会社2社を経験した後、三河地方にあったA建設に入社し、鉄筋建物の建設や解体工事に20年間従事しました。吹きつけアスベストやアスベストが含まれるボード類が使用された建物の解体等でアスベストを吸い込むことが頻繁にあったA建設では、社会保険に加入させてもらえなかったので厚生年金加入記録が残っていないうえ、社長はすでに亡くなり、同僚だった人々も所在不明でした。 男性は名古屋労災職業病研究会で相談を受けながら色々と考え、A建設の入っていたビルの大家さんと、A建設に務めていた時にしょっちゅう工具を買いに行っていた金物屋さんの店主に自身がA建設の従業員であったことを証明してもらい、さらに、A建設時代に男性が取得した型枠支保工の組立て等作業主任者の技能講習修了証明書にA建設の住所が記載されていたので、それも労働基準監督署に提出しました。

数カ月後、労働基準監督署は男性の肺がんの労災認定をしました。

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